• 高木千智のMY QUIET,MY STYLE
  • ブランドロゴや流行ではなく、自分の審美眼で服を選ぶことに価値を置く人々が増えている昨今。我々〈STYLEMIXER〉は「承認のためではなく、自分のために静かに服を選ぶ」という現代の女性の価値観に共感し、一つの文化として捉え“MY QUIET”と名付けました。

    そんな“MY QUIET”なスタイルを持っている方々をゲストにお招きし、ご自身のライフスタイルとファッション哲学を深掘りする。それがこの「MY QUIET,MY STYLE」。

    今回のゲストは、ファッション誌をはじめ、俳優、タレント、広告のスタイリングからファッションブランドのディレクションまで幅広く手がけるスタイリスト・高木千智さん。幼少期から多様なジャンルのファッションに触れる中で形成された、自然体のスタイリングで支持を集める彼女のセンスは、いかにして育まれてきたのか。まずは“スタイルの原点”をお訊きしました

  • スタイリスト 高木千智さん
    2011年に独立し、スタイリストとして活動をスタート。その後、NYに3年間留学。日本帰国後は東京を拠点に活動再開。『GISELe』『Oggi』などのファッション誌をはじめ、俳優、タレント、広告、ファッションブランドのビジュアルなどのスタイリングを幅広く手がける。自らがディレクターを務める〈onit〉、共同ディレクションするブランド〈y YO〉もファン多数。
  • Chapter 1…スタイルの原点
  • ー“ブランドロゴに囚われず、承認のためではない、自分の審美眼で服を選ぶ”。それがMY QUIET, MY STYLE。高木さんのスタイルの原点とは?
  • 高木 今の自分の原点は、育った環境にあると思います。出身は福井県なのですが、母親をはじめ、親戚のお姉ちゃん・お兄ちゃんといった身近な人たちが、みんなファッション好きだったのは大きいですね。自ずと私も幼少期から良い服を着せてもらっていましたし、母は可愛い・可愛くないをハッキリ言ってくれるタイプだったため、自分なりに“好き・嫌い”の感覚を磨くことができたのかなと思っています。

  • ー同世代の友人に比べると、ファッション的にもかなり早熟ですよね。当時、一番のお気に入りだったアイテムは?
  • 高木 『Olive』にも取り挙げられていた〈Do!family〉のキャンバス素材のリュックとか。パイピングがレザーで超可愛かったんですよね。あとは小学生の頃に初めて〈agnès b.〉で買ったスナップボタンのカーディガンもお気に入りで、今でもよく覚えています。ファッション誌もめちゃくちゃ読んでいましたし、ひと通りのジャンルを通った中で、“自分の体型や雰囲気には、何が似合う・似合わない”を知って、さらに「じゃあ、どんなアイテムと合わせて、どう着こなせば似合うのか」というスタイリングの根幹になる部分を学んでいきました。これは今の自分にも活きていると思います。
  • ーそこからどのような経緯でスタイリストに?
  • 高木 高校卒業時に進路を決める際に「服が好きだったから服飾関係の仕事に就きたい」と考え、ゼロから1を生み出すことはできないけれど、1と1を組み合わせて3や5にすることは好きだったので、「スタイリストなるために東京の服飾専門学校に進学したい」と親に伝えたのですが、「4年制の大学に行け」と認めてもらえず…

  • ー親御さんが厳しかったんですね。
  • 高木 本当にそう! 正直、東京に行ければ何でも良いという思惑もあったし、上京はしたいけれど勉強はしなくないということで、とりあえず短大に進学しました(笑)。そこでインターンを募集していたスタイリストさんにアシスタントとしてついたんですが、誰にでもできるような雑用しかさせてもらえず、あまりのつまらなさに1日で辞めて。
  • ー初日で!?
  • 高木 その後、短大卒業時に海外に行くか、改めて服飾専門学校に進学するか迷った末に服飾専門学校に通い出すも、そこもつまらなくて3ヶ月で自主退学して、「恵比寿みるく」というクラブでバイトとして働き始めます。
  • ージェットコースター並みのスピード感かつアップダウンに富んだ経歴ですね。
  • 高木 その店はファッション業界・音楽業界の人々が多く訪れていたので、人脈を作るのにも最適だと思ったんですよね。とはいえ、それだけでは生活が成り立たないので他のバイトも掛け持ちしつつ、バイト先で出会った人たちに「スタイリストをやりたい!」と言って回っていたら、後に私の師匠になるスタイリストさんを紹介してもらえることに。そこでスタイリストアシスタントとして再始動しました。
  • ーまさに紆余曲折を経て。ですね。アシスタント時代はいかがでしたか?
  • 高木 毎日「生きてる!」って心の底から感じるような日々でした。自宅にも帰れずお風呂にも入れずに5日間徹夜なんてのもザラでしたが、それさえもすごく楽しくて。そこから4、5年経験を積んで独立し、雑誌を中心に活動していたんですが、ある時「つまんないなぁ」って感じちゃって…。
  • ーえ!?
  • 高木 毎号同じような企画で同じようなコーディネートを組むのに飽きちゃったんです。お金も貯まっていたし「留学するのもいいかも」と仕事を手放して、30歳でニューヨークに留学しました。同地でのラスト1年間は古着屋でバイトしながら、スタイリストアシスタントもやらせてもらったりと、すごく刺激的で楽しい日々でした。
  • ー留学で得られたものは大きかったですか?
  • 高木 英語での会話はもちろん、苦手だったパソコンも使えるようになりましたし、何よりも私が携わっていた日本のファッション誌と全然違う、撮影現場での立ち回り方を経験できたのは大きかったと思います。それまでは、用意してきた完成済みのコーディネートをモデルに着せるのが、現場でのスタイリストの仕事だと思っていたのですが、その場でモデルに合わせてアイテムを足し引きするなど臨機応変な対応が求められるというのがすごく新鮮でした。そこで得られた学びとともに帰国し、スタイリストとしての活動を再開。今に至ります。
  • Chapter 2…私のワードローブ哲学
  • ーご自身のファッションにおいて、意識している点やルールがあれば教えてください。
  • 高木 言葉にするのはちょっと難しいけれど、自分自身の骨格や体型をちゃんと理解し、何が似合うのか。そこはわかっているつもりですし、昔から意識してきたところ。その上で“ラク”っていうのも、二児の母親としてはハズせない部分。レセプションや公的なシーンでは“ちゃんと見え”する格好をすることもありますが、基本的には今日のようなファッションが多いですね。
  • ー高木さんのクローゼットにどのようなアイテムが並んでいるのかも気になります。
  • 高木 普通にシャツ、Tシャツ、デニムパンツって感じで、本当にスタンダードそのものというか(笑)。というのも自分の格好を誰かに見られた時に、「あの人、気合い入れてオシャレしているな」と思われるのが、気恥ずかしく感じちゃって。だから自分のスタイリングも「自然体なのに、なんだか洒落てるね」と言われるくらいが理想ですし、そう見えるようなアイテムが自ずとワードロープを占めています。
  • ースタイリストという職業柄なのでしょうが、「“オシャレをしている”と思われることに抵抗を感じる」と仰る方は多いですよね。
  • 高木 ですから服を買う際もトゥーマッチに感じるアイテムは、どんなに可愛いと思っても手を出さないかも。もちろん、ちょっと遊び心のあるアイテムを手に取ることもありますが、基本はベーシックなモノしか買いません。ワードローブ全体で見ると、中身は今のまま一生涯変わらないと思います。
  • ーなるほど。そんな高木さんが〈STYLEMIXER〉と出会ったキッカケは?
  • 高木 クリエイティブディレクターを務める松本恵奈ちゃんは、雑誌ViViでお仕事をしていた頃からの付き合いで、「今度、〈STYLEMIXER〉っていう新しいブランドを作るよ」と教えてもらって知ったのが最初です。
  • ーアイテムを実際に手に取ってみた際にどう感じましたか?
  • 高木 プライスとクオリティのバランスが絶妙で「さすが、上手だなぁ」という印象を受けたのを覚えています。今回、最新アイテムも色々とチェックさせてもらいましたが、そこは今でも変わっていませんね。例えば、タートルネックのニットなんかは身幅がゆったりシルエットなのに、タートル部分はほどよく詰まっていたりと、デザインだけでなく着心地に関わってくるディテールの細部に至るまで、しっかり研究して作られていてすごく好きだなって。
  • ー価格帯的に取り入れやすいというのも、支持を集めている要因のひとつです。
  • 高木 そうですね。最初にこのブランドを知った時からクオリティに対してすごく安いなと思っていましたし、私自身もブランドのディレクションをしているので、同じ作り手側としてすごく共感するものづくりをしているなって。
  • ーどういった部分に共感しますか?
  • 高木 今の時代、どんなにこだわって服作りをしても、キャッチーさがないと手に取ってもらいづらいんですよね。とはいえ、やりすぎ感に繋がるような余計なものは加えたくない。そこをシンプルなデザインの中にもギミックを効かせることで、お客さんに興味を持ってもらえるようなフックの部分をさりげなく作り出している。その巧みなバランス感覚こそが、〈STYLEMIXER〉というブランドの強みなのかなって感じました。
  • Chapter3…STYLEMIXERを選ぶ理由
  • ー今回は〈STYLEMIXER〉のアイテムと私物アイテムを組み合わせて、3体のMIXコーデを組んでいただきました。一体目のスタイリングは〈STYLEMIXER〉のシャツが主役です。
  • 高木 これはもう、完全に私の普段着(笑)。インナーは〈ATON〉に〈URBAN RESEARCH〉が別注したTシャツで、スウェットパンツは〈ZARA〉。タイダイ柄のソックスは古着屋で購入したもので、ローファーは〈G.H.BASS〉。スウェットパンツをよく使うのですが、今回はメンズライクでトラディショナルな雰囲気のシャツとローファーを合わせることで、スポーティーさを抑えつつもキレイめな着こなしを意識しました。
  • ーシャツはディテールに見どころが多数あります。
  • 高木 女性が着やすいオーバーシルエットで、ややドロップショルダー気味の袖はアームホールだけでなく袖口も広め。腕まくりをして変化を付けても良いし、腕周りのアクセを魅せるのにも重宝します。また、フロントの合わせをズラして留めることでアシメンメトリーになるギミックも。着用時のシルエットもすごく可愛くって、どう着こなすかを考える楽しみもあるし、スタイリスト目線でもすごく面白いアイテムだと思いました。
  • ー他にはどんな着こなしが思い浮かびますか?
  • 高木 これからの秋冬シーズンであれば、シャツのインナーにタートルネックのニットを挿し込むのもオススメですし、ボトムスをデニムパンツに変えてタックインするのも良さそう。もちろんシャツをベースにレイヤリングを楽しむのもアリですね。
  • ー続いて2体目のテーマは?
  • 高木 これまた普段着ですかね(笑)。むしろ“気取らない、気張らない。でもこなれた格好”が私の永遠のテーマなので。メインのアイテムは、スウェードライクな風合いが雰囲気の良い〈STYLEMIXER〉のブルゾン。シルエットも非常に良くできていますし、本当に上手。このアウターは絶対に売れると思います。

  • ー上下でメリハリを効かせたシルエットも素敵です。
  • 高木 ボトムスのトレンカは〈ZARA〉。今っぽいトレンドの要素を気軽に取り入れられますし、実はシルエットも着心地もすごく良いモノが多い。小さな子どもがいると不意に汚れちゃうなんてこともあるため、乾燥機をかけることができたり、肩肘張らずラフに付き合える点が嬉しいんです。
  • ー〈STYLEMIXER〉然り、ライフスタイルに寄り添ってくれるアイテムがあると心強いですよね。ところで、インナーのTシャツはかなり大きめに見えますが。
  • 高木 これは3XLです。ブルゾンが丸みを帯びたバルーンシルエットなので、トップスをかなり大きめにしてもバランスが取れるので、着丈に変化を付けてみました。すごく軽く羽織れるし後ろ姿も可愛いので、すごく女子ウケしそう。インナーはタートルネックでも良さそうですし、今回はブルゾンのシルエットを強調するためにボトムスをタイトにまとめましたが、スラックスに変えてメンズライクなスタイルにも挑戦してみたいですね
  • ー3体目は、それこそメンズライクなジャケットスタイル。
  • 高木 ここでの主役は〈STYLEMIXER〉のレザーパンツ。柔らかな質感のジャケットは〈YLÈVE〉、タートルネックのニットは〈SLOANE〉です。正直、レザーパンツを穿く機会ってほとんどないのですが、これは一回気になって試着してみたら「メッチャ楽じゃん!」とひと目惚れで即決(笑)。
  • ーレザーパンツはハードなイメージもあるため、難易度が高そうに思えます。
  • 高木 全然そんなことありませんよ。レザーといってもリアルではないため軽いし、ハードになりすぎることなく、でも秋冬は暖かそう。また太さも絶妙でシルエットは抜群。足元に〈アディダス〉のスニーカーを合わせましたが、裾も収まりが良くスラックス感覚で穿きやすくてオススメです。
  • ースタイリングのポイントを挙げるとすれば?
  • 高木 去年から少しずつワードローブ内に茶色のアイテムが増えていて、このジャケットはそういう意味では今の気分。あとはやっぱりレザーパンツ。ジャケットとタートルネックに合わせて大人らしく品格をプラスするように意識してあげるとまとめやすいし、スタイルの幅も広がります。

  • ―最後に、改めて〈STYLEMIXER〉を選ぶ理由を言葉にするとしたら?
  • 高木 先ほどもお話しした、ギミックやディテールといったデザインの部分でいえば「やりすぎはイヤ。だけれどオシャレは楽しみたい」という自分なりのこだわりと審美眼を持った大人たちのツボを上手く突いてくるというのはありますよね。あと、これは一番重要なポイントで“誰が着ても、その人ならではの着こなしになる”。体型や雰囲気といった自分らしさを活かしながらファッションを楽しめるという点に、お客さんも私たちスタイリストもみんな惹かれるんだと思います。