• 樋口かほりのMY QUIET,MY STYLE
  • ブランドロゴや流行ではなく、自分の審美眼で服を選ぶことに価値を置く人々が増えている昨今。我々〈STYLEMIXER〉は「承認のためではなく、自分のために静かに服を選ぶ」という現代の女性の価値観に共感し、一つの文化として捉え“MY QUIET”と名付けました。

    そんな“MY QUIET”なスタイルを持っている方々をゲストにお招きし、ご自身のライフスタイルとファッション哲学を深掘りする。それがこの「MY QUIET,MY STYLE」。

    今回のゲストは、ファッション誌の表紙や巻頭特集をはじめ、多くのスタイリングを手がけるスタイリスト・樋口かほりさん。古着好きでも知られ、多様なジャンルのアイテムに触れてきた彼女は、これまでどう審美眼を磨いてきたのか。まずはそこからお訊きしました。
  • スタイリスト 樋口かほりさん
    2006年、渡邉恵子氏のアシスタントを経て独立。現在はフリーランスのスタイリストとして、女性誌『GISELe』を中心に、ファッション誌の表紙や巻頭特集をはじめ、多くのスタイリングを手がける。独自の視点で提案する大人カジュアルなコーディネートはファンも多い。
    https://kind-mgmt.com/artist/271/
  • Chapter 0…審美眼を磨くためには
  • ー“ブランドロゴに囚われず、承認のためではない、自分の審美眼で服を選ぶ”。それがMY QUIET, MY STYLE。樋口さんは審美眼を磨く上で、これまでしてきたことはありますか?
  • 樋口 スタイリストとしてのファッションの審美眼でいえば、小学生時代にお気に入りで着ていたセットアップがその原点にあると思います。上がロンT、下はピタッとしたパンツでサイドにクマちゃんの顔が3つペイントされていて。これが上下真っ黒で、足元は黒いローファー風の革靴。この服には絶対にコレ!と決めていて「これがオシャレ!」と信じていました(笑)。今思えば少し背伸びしていたのかもしれませんが、全体のバランスを考えて服を組み合わせる楽しさを知ったきっかけがそれです。
  • ー80年代当時、小学生女子で“勝負服が全身真っ黒”というのは珍しかったのでは?
  • 樋口 変わってますよね(笑)。友だちがどんな格好をしていようと気にならなかったし、とにかく自分自身が着たい服しか着ない子どもでした。
  • Chapter 1…スタイルの原点
  • ーそんな樋口さんがスタイリストになったきっかけを教えてください。
  • 樋口 両親ともに美容師だったのはひとつのきっかけだと思います。特に母親がヘアメイクとしても活動していたので、撮影の話を聞いたりメイクボックスを覗いている中で、自然とこちらの業界を身近に感じていたし、知らず知らずの内に意識が向いていたのかもしれません。それともうひとつ、両親が営む美容室が原宿にあったこともあって、兄と一緒に竹下通りのお店を見て回ったりして過ごしていたので、服は元々好きだったというのもあります。

  • ー幼少期から竹下通りのショップを見て回って育ったなんてレベルが高い。そこからどのようにしてスタイリストに?
  • 樋口 短大卒業を目前に控えた時期に「卒業後は何か仕事をしなきゃだけど、スタイリスト以外には考えられなくて…」とバイト先でポロッとこぼしたたら、それを聞いたオーナーが気にかけて、知り合いのスタイリストさんに会わせてくれることになったんです。それがのちに師匠になるのですが、当時はちょうどすごく忙しい時期でアシスタントを募集していると。
  • ーチャンス到来ですね。
  • 樋口 ただ私の場合「服は好きだけれど服飾の勉強をしたわけでもないし、スタイリストなんてなれない」と思っていたので、“ただただ服が好き”という思いを込めた手紙を履歴書と一緒に渡したところ、「知識は後からでも身に付くし、やる気があるならやってみない?」と採用していただけることに。そこからは授業が終わったら現場に行くという、短大生とスタイリストアシの二重生活を卒業まで続けて、3年半のアシスタント期間を経て独立し、今に至ります。
  • ーファッションにおいて影響を受けた人物を挙げるなら?
  • 樋口 着こなしを真似するなど直接的な影響を受けたワケではありませんが、ダイアナ元妃のファッションは昔から好きですね。立場上、エレガントであることは絶対的に求められるし、公務は基本スーツ姿ですが、それだってスーツとアクセサリーの色合わせが素敵だったり、とてもセンスがある方だったんだと思うんです。
  • ー彼女はレディな着こなし以外の格好もすごく魅力的でした。
  • 樋口 スウェットにデニムのようなカジュアルな装いやスポーティーなテニスルックでも、どこか品格が感じられるんですよね。なので、ダイアナ元妃のファッションに影響を受けたっていう人は多いと思います。ヘイリー・ビーバーのオーバーサイズのスウェットにモモ丈のバイカーショーツを合わせるスタイルなんかは、彼女の着こなしにそっくりでトレンドにもなりましたし。そういったタイムレスな魅力に惹かれるんでしょうね。
  • ーファッションにおいて、これだけは譲れないことってありますか?
  • 樋口 どんなに素敵なものでも“自分らしくいられないモノ”は選ばないようにしています。分かりやすく言うと、綺麗すぎないというか、オシャレをしすぎないみたいな。スタイリストなのに「オシャレしました!」って格好をするのがちょっと苦手で気恥ずかしさを感じちゃうんです。仕事柄、沢山の服に触れますし「可愛いな。素敵だな」とは思いながらも、スタイリングを組んでモデルに着せて撮影できたら、それだけで私は満足しちゃうというか。
  • ー自分に似合う・似合わないもありますし。
  • 樋口 本来スタイリストは裏方ですし、打ち合わせしてリサーチしてリース、アイテムが集まったらスタイリングを組んで撮影準備をしてと、とにかく立って座って歩き回る仕事なので、動きやすさは重要。そこを突き詰めていくとTシャツにデニムに落ち着くっていう。他人からはオシャレに感じられないかもしれませんが、自分自身に似合ってさえればいいのかなって思っています。
  • ーどんなジャンルでも突き詰めるとシンプルに落ち着くっていうのはありますよね。パッと見は普通だけれどよく見たら…っていう。
  • 樋口 ある意味ではそこを狙っているのかも。Tシャツにデニムって「この人はオシャレなのかも…」って思われるじゃないですか。例えば、初めての相手とのお仕事で打ち合わせの際にすごくモードな格好で現れたら「モードなスタイルが得意なんだろうな」って思われますよね。それがTシャツにデニムの場合、「色々なスタイリングを組んでくれそうだな」と思ってもらえるんじゃないかなって。
  • ー相手に決まったイメージや固定観念を抱かせないということですね。
  • 樋口 ただし、そこに「このデニムのサイジングに合わせるなら、Tシャツはこのシルエットと着丈がいい」とか、他人には絶対に気付かれないだろうけれど譲れないこだわりは持っていたいところ。私の場合、古着のデニムがずっと好きなんですが、それもヒップポケットにライターの跡がついてたり色落ちしていたりと、人の手を経て変化していった雰囲気が好き。オリジナリティも自然と演出できて、なおかつ他のアイテムとも馴染みやすいので、ついつい頼ってしまいます。
  • Chapter 2…私のワードローブ哲学
  • ーご自身のワードローブに特徴や共通性はありますか?
  • 樋口 気分的にいつもとちょっと違う服を着たくなった時に“合わせるだけで整うモノ”ですかね。そう考えるとデニムやジャケットが断然多いのもそれが理由なのでしょうね。例えば、ちょっと甘めのブラウスが着たくなった時にも、ジャケットとデニムを合わせれば気恥ずかしさを感じることなく着こなせたりとか。“いつでも、何にでも合う”。っていうのが共通している部分だと思います。
  • ーいつもとちょっと違う服というのは、その時々のトレンドのモノも含まれるのでしょうか?
  • 樋口 デニムだけど、最近は黒を履きたい気分だから買い足すとか、色や素材でその時々の気分やノリを反映させることはありますが、アイテム自体でいえば基本は変わらないかも。
  • ーワードローブの中身の残るモノ、手放すモノの基準を教えてください。
  • 樋口 以前は持っていることに価値を感じることもありましたが、今は使ってこそ価値があると考えています。クローゼットの中でも実際によく着ていて自分らしさを支えてくれるものを残し、役目を終えたものは感謝して手放すようにしています。スウェットやシャツなんかはメンズアイテムをよく選ぶんですが、そういったアイテムはいつでも着られるベーシックなモノが多いし、素材や作りにもこだわっていて1点取り入れるだけでサマになったりする。だからメンズアイテムが好きだし、気付いたら残っているっていう感じです。
  • ーでは、ハイブランドとそうでない服をミックスする際に、意識するポイントはありますか?
  • 樋口 ブランドで考えるというより、服そのものを見て選ぶことが多いかな。ベーシックなモノは長く着たいので、結果的にハイブランドの良いものを選ぶことがありますが、そこに合わせるアイテムは価格に関係なく、その日のバランスや全体の雰囲気で決めています。
  • ―“着こなす”という視点でさらに意識すべき点があれば教えてください。
  • 樋口 すごくカジュアルな格好でもアクセサリーは必ず着けるとか、女性らしさや品格はどこかに入れたいですし、清潔感も大事だと思います。私の場合もメイクがあまり得意ではない分、絶対にピアスはするようにして、ちょっとでも女性らしく見せるよう意識しています。すごくオシャレな服を着ていても清潔感がないと残念に感じられてしまうので、年齢を重ねるとそこが重要になってきますね。
  • ー〈STYLEMIXER〉は以前からご存知でしたか?
  • 樋口 たしか雑誌かSNSで見かけたのが出会い。「シンプルで洒落ていて可愛い」と思ったアイテムが〈STYLEMIXER〉だった。という感じです。
  • ー実際に手に取ってみた際にどう感じましたか?
  • 樋口 デザインや素材、シルエットの完成度が高く、そのバランスの良さが“ならではの魅力”だと思います。ベーシックでありながら“肩肘張らずに今の気分を取り入れられて、長くワードローブで活躍してくれる”そんなアイテムが多い印象。なにより素材の質感も素晴らしいですよね。見た目とクオリティがちゃんと伴っているといいますか。シンプルで可愛いしちゃんと作られている。正直、モノ自体が良ければ値段は大して気にならないタイプですが、ここのアイテムは値段以上の価値があると感じました。
  • ー大人のファッションにおいて、素材の良さは着心地にも繋がる重要なポイントです。
  • 樋口 今の時代、着心地は本当に重要ですよね。着ていて快適かどうかはもちろん、ニットなんて肌触りがチクチクして気になると着なくなっちゃいますし。その点、「STYLEMIXER」のアイテムは本当に着心地が良くて「前から持っていた服かな?」と思っちゃうくらい自然と馴染んでくれます。
  • ーなるほど。逆に「こんなアイテムがあれば欲しい」というリクエストってありますか?
  • 樋口 以前は展開していたというメンズラインがあると楽しいですよね。メンズをウィメンズと合わせる人って多いと思いますし、スタイリングの幅も広がるんじゃないでしょうか。とはいえ、シーズンごとに新作をリリースするのは難しいと思うので、ジャケットやTシャツにデニムパンツ、スラックスのような定番モノだけでも。カッチリしたジャケットをTシャツでラフに着崩したり、ウエスト大きめのスラックスをギュッとベルトで絞って穿く感じとか、ウィメンズをサイズアップしただけでは出せない雰囲気やシルエットが楽しめたら、すごく素敵じゃないですか。
  • Chapter3…STYLEMIXERを選ぶ理由
  • ー今回は、〈STYLEMIXER〉のアイテムと私物アイテムを組み合わせて、3体のMIXコーデを組んでいただきました。

    ー1つ目のスタイリングは、樋口さんの十八番であるデニムルック。
  • 樋口 主役は〈STYLEMIXER〉のベージュのショート丈カーディガンで、合わせたデニムパンツは大好きな〈Levi's〉。ヴィンテージを復刻した現行モデルなんですが、ハイウエスト気味なのでショート丈のトップスともバランスよく収まります。かなり履き込んでアジが出ているスニーカーは〈comme des garcons〉。息子の落書きがアクセントです(笑)。このスタイリングのテーマは“エフォートレス・デイリー”。
  • ーこれもまたヘルシーな肌見せ。ヘアバンドやスニーカーを合わせたことで、アクティブな印象も際立ちます。
  • 樋口 動くとカーディガンの裾からお腹がチラっと見えるくらいの肌見せがポイントかな。袖丈も長めで、手元に生地が溜まる感じがすごく洒落ていて可愛いし、ちょっと透け感もあるので、これ1着でトレンド感が狙えてオススメ。スナップボタンのあしらい次第でフォルムと雰囲気も変わるのもイイですよね。今回は黒キャミですが、色モノを合わせても可愛いし、秋口は薄めの黒タートルニットを中に合わせるのもアリ。すごくアレンジし甲斐のある1着です。
  • 樋口 続いて2体目のテーマは“モダン・クラシック”。サッと羽織ったトレンチコートはヴィンテージの〈BURBERRY〉で、足元のローファーは〈HARTA〉。時代が変わってもなお着続けられるアイテムをシンプルに合わせて、タイムレスな着こなしを意識してみました。そこでポイントとなるのが、中に着た〈STYLEMIXER〉のキャミニットワンピース。
  • ーメンズライクなコート&シューズと女性らしい抜け感のあるキャミワンピの対比が素敵です。
  • 樋口 コートとワンピの着丈はともに長め。重ねることでクラシカルな雰囲気を狙ってみました。また、キャミワンピもすごく私好みで。素材が薄手のニットで胸元が割と詰まっているので、前からはコンサバっぽく見えるけれど、振り返ると背中が潔く開いていて色気もあって、その肌見せの塩梅が絶妙。大人が着た時にイヤらしくならずヘルシーに決まるので、今の時期からアウターが必要な季節まで重宝してくれます。

  • ー3つ目は再び、樋口さんのお好きな古着を取り入れたスタイルです。
  • 樋口 テーマが“シティ・ヴィンテージ”なので、デニムと同じくらい大好きなヴィンテージのTシャツに〈HYKE〉のジャケットを合わせて、パンツは〈STYLEMIXER〉。足元にサンダルを持ってくることで抜け感を狙いました。Tシャツはグラフィックがすごく可愛いし気に入っているんですが、どうしてもグラフィックの印象が強すぎて…。なので、バランスを取るために自分で文字を描き込んでいます。こんな風に自分らしくアレンジして遊べるから古着は楽しいですね。
  • ー着こなしのポイントを挙げるとすれば?
  • 樋口 やっぱり古着とのミックス感でしょうか。パンツがメンズライクですごく格好良かったので、テイストの近いジャケットを合わせようと思った際に「じゃあ、インナーはどうしよう?」と。そこで格好良さを損なうことなく私っぽさを加えるとしたら、ヴィンテージのTシャツかなと。とはいえ主役はこのパンツ。デザイン自体はシンプルですが、パターンが良いのかシルエットが抜群に綺麗でとにかく履きやすい。シャツにサラッと合わせるのも格好いいし、カジュアルに仕上げるならスウェットもオススメ。大人は黒を選べば間違いありません。
  • ー今回着用いただいたアイテムの中でお気に入りを教えてください。
  • 樋口 この黒のパンツはとにかく履きやすくてサマになるし、すごくイイですね。カラバリも3色展開されているので、色違いで持っているだけで毎日のファッションが楽しくなると思います。
  • ースタイリングに使っていただいたアイテム以外にも気になったモノがあれば教えてください。
  • 樋口 沢山あったので、多めにピックアップして持ち帰らせてもらって色々と合わせてみました。ニットは色も綺麗で質感もイイし、どれもすごくベーシックで可愛かったです。あとはデニムも。他のアイテム同様すごくシンプルで、迷ったらこれを穿いておけば間違いないという安心感。〈STYLEMIXER〉のアイテム同士で組み合わせてもきっと格好いいでしょうね
  • ―最後に、改めて〈STYLEMIXER〉のどこに選ぶ理由を一言で表すとしたら?
  • 樋口 “日常に溶け込むモード”でしょうか。ブランドの強みとも言い換えられますが、シンプルで洗練されたデザインでありながら、毎日のワードローブに自然と馴染み、長く愛用したくなる。それが〈STYLEMIXER〉を選ぶ理由。実際、スタイリストはみんな好きだと思いますよ。雑誌でスタイリングを組む際も、ワンブランドではなく色々なブランドのアイテムと組み合わせるので、何にでも馴染むってすごく大事なポイントですから。